あれは忘れもしない2016年のパリでのこと。
とあるサンジェルマン界隈のバーで、パリに住むある日本人男性を待っていました。シャンパンを飲みながらバーの中を見渡すと、なんとそこにいたほぼ100%の男性がヒゲを生やしていたのです。
そして私は、その時一緒にバーで待っていた方と賭けをしました。「今から来る○○さんははたしてヒゲを生やしているかどうか」。私はもちろん「ヒゲあり」にかけました。彼はパリ5区（大学が多いアカデミックな地区）に住んでいるし、職業は内装建築家という自営業だし…。
そして30分ほど仕事で遅れてやってきた彼には…やはりヒゲがありました。
パリではヒゲが大ブームのようです。これがフランス全体の傾向なのか、それともパリだけなのか。また、パリ内でも地区によって違うのか。非常に気になっていたところ、まさにぴったりのアンケート結果を発見したのでご紹介したいと思います。
フランス人男性の48％がヒゲを生やしている
2016年、IFOP（Institut francais d’opinion publique/フランス世論調査機関）が2000人のフランス人と2000人のパリジャンに対してヒゲに関するアンケートをとったところ、52％のフランス人男性はヒゲを剃っていましたが、残りの48％の男性はなんらかのヒゲ（あごひげ、口ひげ等も含め）を生やしていると答えました。
ちなみにフランス人女性が最もセクシーだと思うヒゲは
3日ヒゲ（33％）
10日ヒゲ（4％）
短いヒゲ (4％)
長いひげ（0％）
3日間程度伸ばしたヒゲがもっとも魅力的に思われるようです。
ヒゲといっても口ひげ（4％）やあごヒゲ＝山羊ヒゲ（3％）だけの男性はほとんどおらず、女性にもあまり人気がないのでご注意を。
ヒゲ男は若くて知的な職業についている割合が高い
また、フランスではヒゲを生やす人は若い世代に多く、25歳～34歳の男性の55％がヒゲを生やしており、25歳以下のフランス人女性のなんと81％が「ヒゲを生やした男性が好き」と答えています。
この若い女性のヒゲ人気は、彼らの職業に関わっているのかもしれません。
会社員（44％）または管理職（40％）の男性でヒゲを生やしている割合は低めで、教師、ジャーナリスト、アーティストなどのいわゆる「知的」職業についている男性に特にヒゲ男の割合が高いとのこと。衛生上の問題やお客さんへの見かけの問題もあるので、職業によってはヒゲを生やすのって難しいですよね…。
ヒゲ男は左派、エコロジストに多い
また、ヒゲは政治的信仰にも関連しており、左派（社会党、エコロジスト=緑の党、共産党など）支持者はヒゲを生やしてる割合が右派（共和党）より多く、エコロジストおよび左派（Front de gauche）支持者の実に59％をヒゲを生やしているそうです。
政治的信仰とヒゲの関係は、パリの彼らの居住区にも表れており、歴史的に左派が多く住んでいるパリ東部にはみごとにヒゲ派の男性が多いとのこと。パリ全20区の各区長の政党と、ヒゲの男性の割合の地図が一致するのがとても面白いと思いました。
左の地図：パリの地区別ヒゲを生やしている男性の割合（青＝ヒゲを剃っている男性が過半数の地区、赤＝ヒゲを生やしている男性が過半数の地区）
右の枠内：パリの各区長の政党（青＝右派、赤＝左派）
Ifopのアンケートより
寒い地方ではヒゲがあった方が暖まる？
さて、フランス全体でみると、北に住んでいる男性の方がヒゲを生やしている割合が高いそうです。これは、上述の政治的信仰と関係があるのかもしれませんし、単に温かい南部でヒゲを生やすとムレる、という気候の問題かもしれません。
青＝ヒゲを剃っている男性が過半数の地域
赤＝ヒゲを生やしている男性が過半数の地域
私がいたパリのバーは、大学がひしめくパリ5区のすぐ近くにありました。パリの「ヒゲマップ」を見ると、確かに5区は56％とヒゲの男性の割合が高いです。
フランス人の職業や政治信仰とヒゲの関係はなんとなく感じてはいましたが、このようにアンケートではっきりと数字が分かると面白いものですね。
ヒゲがあるけれどモテないという日本人男性の皆さん、パリに行ったら若いパリジェンヌにモテモテかもしれませんよ！
