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フランス人と結婚する前に知っておくべき親権の問題について

フランスと日本は根底に流れる文化的な所になにかしらの共通点があり、
お互いに魅かれ合っていると思います。日本人はフランスの芸術、音楽、食など
に古くから魅力を感じており、フランス人もまた日本文化に興味を持っている人が
多いです。

そんなこともあり、フランス人男性と知り合い、お互いに惹かれて
結婚を決める日本人女性も多いですが、結婚をして子供ができる前に知っておきたい
「親権」の問題があります。

フランス人と結婚する前に知っておくべき日仏の親権の違いについて

現在フランスでは、第一子が生まれる時点でその半数以上のカップルがが婚姻を
していません。法律により、フランスでは両親が結婚していても、民事連帯契約(P.A.C.S.)の関係にあっても、また、事実婚の関係にあっても
(父親が子供を認知すれば)、親権は両親が行使するものですので、
結婚という形式にこだわらずに子供をもうけるのです。
出生率ヨーロッパナンバー1のフランス。でもフランス人はなぜ結婚しないで子供を産むのか

また日本と違い、離婚や別離があっても原則として共同親権のままであり、
両親と子供との関係は維持され、両親は互いに他方の親と子供との関係を尊重しなければなりません。
一方で日本の場合は、両親が結婚関係を継続している間は親権は共同で行使されますが、
離婚後は共同親権が認められておらず、一方の親が親権者となるところが、
フランスの制度と大きく異なっています(単独親権、民法第819条第1項)。
ちなみに日本では、離婚後、親権の約8割は母親が持つという統計が出ています。
この親権に関する日仏の違いが、子供を持つ日仏カップルが離婚をする場合に
大きな問題となってくるのです。

 

フランス人と離婚した後の親権の行使について

このようにフランスでは離婚後も共同親権が維持されますから、離婚や離別後に、
子供と生活を共にしない方の親と子供との関係は、「親権の行使」という観点から重視されます。フランス映画を見ていると、離婚した親たちの間を行ったり来たりして生活する子供達のシーンがしばしば見られますし、私の周りにも「夏休みの間、旦那と前の奥さんとの間の子供が遊びに来ているの」という仏人、日本人女性の友人が結構います。

日本では、面接交渉権は子供の健全な成長という観点から認められていますが民法に明文の規定はありません。一方でフランスでは、親権の行使のための親の当然の権利という注意を払う必要があります。

例えば、子供と同居しない親は子供と同居する親の居住地を知る必要が
あります。従って子供と同居する親が住居を変更する場合は、変更後の
居住地を、他方の親に告知することが義務付けられています。
未成年の子供と同居する親が住居変更を他の親に伝えない場合は、親権行使を侵害したと
して、刑事罰(6ヵ月以下の拘禁刑又は7,500ユーロ以下の罰金)を科される可能性がありますので、注意が必要です。

両親ともに同じ国に住む場合には、離婚後の「親権の行使」は比較的可能ですが、
国際結婚の場合や、どちらかが別の国に赴任になった場合には、子供の行き来が
難しい問題となってきます。
上記にあげた「前の奥さんとの間の子供を、夏休みの間預かっている」という友人達は、
二人とも今の旦那さんの海外赴任についてきているため、前妻との子供さんは
毎回飛行機に乗ってお父さんを訪ねてきています。
また、タイに住んでいた知り合いの仏人・タイ人のカップルは、親権行使のために離婚後に
二人そろってフランスに移り住みました。

 

フランス人と離婚した後の子供の連れ去り問題について

フランスでは結婚中又は同居中、一方の親が他方の親に無断で子供を連れ去る行為は、
やはり親権行使の侵害に当たるとして犯罪とされており、1年以下の拘禁刑又は
1万5,000ユーロ以下の罰金に処せられる可能性があります。これはフランス以外
でもあることで、例えば私がアルゼンチンに住んでいた時には、夫の署名入りの
書類を税関で見せずには子供達と私だけでアルゼンチンを出国することはできませんでした(単なる旅行でも、です)。

夫婦間の関係が悪くなり、父または母親が他の親の承諾を得ることなく子供を連れ去って別のところで子供と生活を始めた場合、たとえ子供の連れ去りが暴力等を伴うことなく平穏に行われたとしても、他の親の親権行使を侵害する犯罪であるとみなされます
一方日本ではよく、「夫との関係が悪くなり母親が子供を連れて実家に戻った」という話を
聞きますが、これはフランスの法律では犯罪にあたる行為です。
日本にも「未成年者略取・誘拐罪」という犯罪が規定されていますが(刑法第224条)、
連れ去られた未成年者の行動の自由と安全が侵害されたかどうかが重視され、
夫婦間の協議が調わないまま一方の親が他方に無断で子供を連れ去る行為は、
通常は犯罪とされません。

この違いを知らずに、フランス人夫との仲が悪くなったからといって、勝手に子供を
連れて日本に帰ろうとする日本人女性がいますが、フランスの法律では
他の親の親権行使を侵害する犯罪になるので、気をつけなければなりません。

また、この違いを知らずに日本人女性と結婚して日本に住んでいた仏人男性が、
日本の法律で離婚した後に全く自分の子供に会えなくなってしまった、
というケースも多くあります。

 

まとめ

以上の親権に関するフランスと日本の法律の違いは、日仏カップルが離婚をする際の
大きな問題となるため、これからフランス人と結婚しようと考えている方には
ぜひ知っておいて欲しいと思います。
子供ができた後、万が一離婚をした際に自分はどこの国に住むのか、相手はどこの
国に住むのか。また相手の国に住み続ける場合には自分で収入を得られるのか等、
結婚をする前に考えておくべきことは多いです。

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