雑誌やパリの町でフランス人女性を見ていて思うのは、「この人なんだか素敵なんだけど、はたしてスキンケアやメイクに手をかけているんだろうか?」ということ。
メイクはほとんどしていないように見えるし、髪も無造作にまとめているだけ。でもなんだか魅力的。でもなんで?
アジア人のきれいな人はその点はっきりしている。ファンデーションをしっかりと塗り、眉毛も丁寧に描く。
まつ毛はしっかりカールまたはエクステ装着、チークを頬骨にそって入れて口紅を塗る。
髪先はクルクル巻かれていたり、ヘアアクセサリーがキラキラしていたり。
でも手をかけているのは分かるんだけど、なんだかメイクがその人になじんでいない。明らかにワザと魅力的にみせようとしている。
フランス女性の魅力がどこからくるのか、4人のパリジェンヌが書いた本
“How to be Parisian wherever you are”(Sophie Mas, Audray Diwan, Caroline de Maigret, Anne Berest著)
を参考にしながら、探っていきたいと思います。
肌はナチュラルに見えなければならない
フランスのモード系雑誌を見ていると、女性のしみやそばかすはあえて隠さないことに気づきます。
例えばフランスの老舗ジュエリーブランドMAUBOUSSIN(モーブッサン)の広告写真を見ていていつも思うのは、女性の肌がいつもリアルに撮影されていること。ソバカスだらけの顔と、モーブッサンのジュエリー。
アジアの広告だと絶対にこうはありえないでしょう。広告にうつるアジアの女性の肌は、いつもシミひとつなく完璧に白いのです。
パリジェンヌたちの本にこう書いてあります。
さまざまなストーリーを、肌の自然な色の後ろに閉じ込めてしまってはいけない。
だから、肌は見せ、さらけださなければならないのだ。
フランス女性のスキンケア、メイクの最大の鉄則は「肌はナチュラルに見えなければならない」ということです。
フランス女性はどうやってナチュラルな肌をつくるか
フランス人女性はファンデーションを使うのを避けるといいます。なぜなら、ファンデーションは肌を覆うものにすぎず、おおってしまってはつまらないからだそうです。
でもそれは、何もつけないという意味ではありません。
画家がキャンバスに色を塗る前に「準備をする」ように(これらの準備は秘密にしておかなければならず、画家の死と共にそのレシピも消え去るのである)、顔の肌もキャンバスのように扱わなければならない。
そう、フランス女性の肌には秘密の下準備が隠されているのです。
次に、コンシーラー(Yves Saint LaurentのTouche Eclat)やBBクリームを使って、肌の不具合(目の下のクマ、鼻の両サイド、シミなど)を隠す。
どうしてもファンデーションなしではすごせないというのであれば、その効果を和らげるように、少量のモイスチャライザーと混ぜて使うこと。そして、目力を強調しクマを隠すために、上下のまつげにマスカラ(Hypnose by Lancome)を数回塗る。
外出するときには真っ赤な口紅(Dior Addict)も悪くない。
フランス女性のヘアスタイルの秘密
雑誌でみるフランス女性の髪形はいつもなんだかボサボサ。前髪が無造作に顔にかかっていたり、櫛でとかしていないようなロングヘアそのままだったり。下に「ヘアスタイリスト」の名前が書いてあると、「何かスタイリングしたの?」と思ってしまいます。
でもこれが彼女達の魅力の秘密なのです。
パリジェンヌのヘアスタイルは決して「パーフェクト」ではなく、豪華な盛りヘアはあまり好きではない。
彼女達は年齢に応じて髪型をくふうし、髪型のキチンと具合を変化させる。
しかし、注意しなければならないのは、これは実に綿密に計算された、無秩序さなのである。
それではフランス女性の計算された無秩序なヘアスタイルをつくるには、どうすればよいのでしょうか?
そのかわりに、もっとエコロジーなものを二つ使う:夏は自然の風、冬はタオル。可能な限り、髪は朝ではなく夜洗い、濡れた髪のまま外出しないですむようにすること。
湿ったままの髪で眠りにつくと、起きた時にいい感じの髪型になる。髪を毎日洗うのはよくない。一日おき(または髪質によって二日おきでも)にすることで、髪に適度な重さが出て、お団子ヘアにしたときに、ちょうどよいボリュームになる。
もちろん、髪の毛や耳の後ろ、首筋にほんの少しの香水をつけるのも悪くない…。
この計算された無秩序な肌、ヘアスタイルが、フランス女性の魅力の秘密だったのですね。
フランス女性の美学について、パリジェンヌたちからのアドバイス
なぜなら、実際のところナチュラルなものなんてないのだから。
パリジェンヌは生まれつきパーフェクトな肌で、すばらしく無造作な髪を持っていると思われているかもしれない。彼女達はゆりかごの前からシャネルNo.5の香りを漂わせているのだ、と。
その「ナチュラルさ」は遺産であり、説明できないものなのだ、と。
それはすべて嘘である。
「ナチュラルでいる」というのは、何世代もの間、丹念に受け継がれてきた大変な努力の賜物なのだ。
受け継がれてきたのは、こんな風なちょっと変わったアドバイス:
まるで自分自身に気を使っていないように見せながら、いかに自分のケアをするか。
これが、フランス女性の美学。