ハードコンタクトレンズを使用し始めて30年。しかし、最近不便に思うことが
あります。それは、私の住んでいる国ではハードコンタクト用の保存液、洗浄液が
売っていないことです。今は日本に帰国した際にまとめ買いをしてくるか、緊急の際には
親に頼んで送ってもらいますが、この先こんなことを何十年も続けるのは不便です。
代わりに、近所のドラッグストアにたくさん売っているソフトコンタクト用の保存液、洗浄液をハードに使ってもよいのでしょうか?
ハードにソフトコンタクト用の保存液、洗浄剤を使ってもいいの?
ソフトの保存液をハードに使用できる?
ハードコンタクトは素材上、液を吸収しないのでソフトコンタクトの保存液を使用しても
直接 眼に症状がでることはないそうです。
ですが、洗浄、消毒効果は期待できないため、緊急の場合のみにしましょう。
ソフト用保存液を使用した場合には、その後ハード用の液できちんと洗ってからの装着をおすすめします。
ソフトコンタクト用の保存液をそのまま使っていたら、いずれ症状がでますので、気を付けてください。
ソフトの洗浄剤をハードに使用できる?
結論から言うと、ソフトの洗浄剤をハードに使用しても意味が無いです。
ソフトレンズは涙を吸収して酸素透過を涙に頼っています。
レンズの中に涙が入りレンズの中まで汚れるため、消毒をする必要が
あります。一方ハードレンズは酸素を透過しますが、涙は吸収しません。
レンズの外側に着いた汚れを落とせばよいので、そのため消毒の必要はないのです。
ソフトの洗浄剤をハードに使っても大きな問題が発生することはありませんが、
あまり意味が無いということです。
また使用しても特に問題はありませんが、レンズの汚れの落ちが悪い可能性があります。
ハード用保存液にはハードレンズを曇りにくくする成分が入っていますが、ソフト用ではその効果が得られません。
十分な洗浄効果が得られないので、レンズが曇ったり酸素透過が悪くなる原因になります。
緊急の場合には使用はできますが、長期間はお勧めできないということですね。
ハードコンタクト保存液の代用品は?水道水につけてもいい?
旅行に出かけてたまに忘れるのが、ハードコンタクトの保存液。
日本であれば近所のコンビニでも売っていると思いますが、海外だと(しかも
ハード用のケア製品が売っていない国だと)、本当に困ってしまいます。
そんな場合、レンズをはずして翌朝まで水道水の中に浸しておいてよいのでしょうか?
ハードレンズの場合、一晩保存液代わりに水道水を使用したからといって、
レンズが使用不能になるようなダメージはありませんが、レンズにとっていい状態ではありません。
このようなことを続けた場合、水道水に含まれる塩素によってレンズ表面が変化し、
また菌が繁殖しやすい状態になり、レンズの寿命も短くなります。
緊急時以外は水道水につけて保存しないようにしましょう。
では旅行等が数日間続き、どうしてもハードコンタクト用の保存液が売っていない場合には
どうすればよいのでしょうか。
その場合には「生理食塩水」を作れば保存液の代わりにできます。
コンタクト保存用の生理食塩水の作り方
<必要なもの>
真水で良く洗った500mlのペットボトル、もしくは未開封のミネラルウォーター
真水500cc(水道水を10分以上沸騰させて冷ましたもの)またはミネラルウォーター
塩4.5g(小さじ一杯が5gなので、小さじ1弱)
(塩分濃度は、人の体の塩分濃度に近い0.9%にする必要がありますので、
500ml以下の場合には塩分量を計算してくださいね。)
<作り方>
ペットボトルにいれた真水500mlまたはミネラルウォーターに、
少量ずつ塩を入れ、そのたびにボトルをよく振って混ぜる。
すべての塩を入れ、完全に塩が水に溶けるまでよく振ったらできあがり。
これで、ひとまず保存液ができ、コンタクトを外して保存できます。
但し、洗浄したり消毒することはできませんので、翌日着用後はなるべく早く洗浄をするよう
に心がけましょう。
ハードコンタクトの洗浄に軟水か硬水は関係あり?
ちなみに、ハードコンタクトを洗浄する際の水道水が軟水か硬水かを気にしなければ
ならないのでしょうか?
ソフトコンタクトは水分を吸収しますが、ハードコンタクトは水分を吸収しないので、
水道水が軟水か硬水かは気にしなくて大丈夫です。
ただしハードの場合には保存液から出した後に水洗いして直接目に入れるので、
ある程度、清潔な水が望ましいかとは思います。水道水の水質が心配であれば、
ミネラルウォーターで洗うとよいでしょう。
私は軟水の国、硬水の国、さまざまな国でハードコンタクトを使い続けていますが、
毎日水道水で洗っても問題はありません。もちろん保存液や洗浄液はちゃんと
ハード用のものを使っていますよ。
まとめ
さて、ハードコンタクト用の保存液、洗浄液が売っていない国というのは、タイです。
以前はバンコクの伊勢丹デパートの「パリ ミキ」で販売されていたのですが、タイの代理店が
ハード用の保存液を輸入できなくなったそうで、今後は販売できないとパリミキの店員さんがおっしゃっていました。
「それは絶対に困る~!」と思ったのですが、恐らくタイでは皆さんソフトコンタクトを使用している
のでしょうね。確かにソフトコンタクトやカラーコンタクトであれば、バンコクのあらゆる
所で売っています(青い目のタイ人がちらほら)。
「そんなにハードは人気ないの?」と疑問に思って日本での使用割合を調べると、
コンタクトを使用している人の中で、ソフトコンタクトを使用している方が8割以上を
占めているそうです。私がコンタクトを使い始めた頃とは、ずいぶん時代が変わりました。
ハードは「乾きにくい」「視力・乱視の矯正がしやすい」といった特徴があり
ドライアイの人や乱視の人が多く使用しています。
またソフトと違って耐久性があり長期間使用できるため、ランニングコストと
手入れの点から見て「便利」という声もあるのですが…。
でも、海外に住み続け、旅行に出かける回数が多い私は
いつも「落とさないかな~、流してしまわないかな~」とビクビクしているのは確か。
なんせ日本のように、数時間でハードコンタクトを作れないのですから…。
ハードコンタクトのケア製品がない国に住んでしまった場合には、使い捨てのソフトに
切り替えるのがベターなのでしょうかね。