現在東南アジアに住んでいるのですが、フランス行きの飛行機(エールフランス)に乗ると、必ず離陸前にCAさんが両手にスプレー缶を持ち、飛行機の前方から後方へとまんべんなく「シュ~」とスプレーをまいていきます。いい香りがするのですが、あのスプレーの
正体はいったいなんなのでしょうか。
飛行機の離陸前にCAさんがまくスプレーは殺虫剤だった
離陸前の飛行機内でCAさんがおもむろにまきだすスプレーは、殺虫剤です。
フランスでは2013年に、飛行場の近くに住んでいる住民、または空港内で働いている
人々がマラリアにかかっているケースが複数みられたために、海外からの蚊の侵入を
防ぐために機内に殺虫剤をまく対策がとられました。
機内での殺虫剤のまきかたは、フランスでは以下のように定められています。
- 乗客がすべて機内に乗車した段階で、離陸前に速攻性効果のスプレーを散布する
- 乗客が機内に載る前、飛行機が地上に待機している際に、持続性の殺虫剤を散布する
- 食事が準備される場所以外に、定期的に持続性の殺虫剤を機内のあらゆる場所に散布する
離陸前だけかと思っていましたが、結構頻繁に機内で殺虫剤が散布されているのですね。
私は芳香剤なんだと思っていました…。
どこの国から出発するの飛行機内で殺虫剤をまくのか
すべてのフランス行きの飛行機内でスプレーがまかれるというわけではありません。
対象国としては
マラリアの危険性がある国
アルボウイルスの危険性がある国
だそうです。
飛行機内でまく殺虫剤の健康への害について
結構な量の殺虫剤を、閉め切った機内で乗客の上にまくわけですが、健康に害は
ないのでしょうか。
機内で殺虫剤をまく航空会社はフランスの会社に限りません。オーストラリアのカンタス航空の元スチュアートの男性(52歳)は、発病したパーキンソン病が機内で散布していた殺虫剤が原因だとして、2013年にカンタス空港を起訴したことがありました。かれは27年間カンタスで働いており「2週間に一度は長距離の国際線にのり、殺虫剤を吸っていた」というのです。
機内での殺虫剤の散布は実は1920年代から始まったとのことです。
1961年にはWHOが機内の殺虫剤の健康に関する取り決めを制定しており、
現在では「機内でまく殺虫剤は人体に影響が少なく、少量でも殺菌効果が
すばやく効果的に表れるD-phenothrinを使用するように」と定められています。
オーストラリアの厚生省は「WHOは殺虫剤とパーキンソン病に関連性はないとしている」
と発表し、また、機内での殺虫剤の散布をしなければマラリアや黄熱病の発生リスクが
高まるだろう、と付け加えています。
まとめ
病原体をもつ虫の侵入を防ぐための機内での殺虫剤の散布。グローバル化した現代では
確かに必要なのでしょう。しかしその一方で、植物や果物をスーツケースに入れて持ち込む人は
なくならないので、害虫や病原菌の侵入を完全に防ぐのは難しいですね。