仕事上、英語やフランス語での会議の通訳をすることが多いのですが、その中で一番
困るのが数字の通訳。1千万までは大丈夫でも、売上や市場規模の話となり億、兆といった
大きな数字が出てくると、日本語から英仏語、英仏語から日本語へと
切り替えるのに少し時間がかかってしまいます。英語での数字の桁の言い方についてのお話です。
日本語と英語/仏語における、数字の桁区切りの違いについて
ご存知の方も多いでしょうが、日本語と英語/フランス語では、数字の桁区切り
が異なります。
英語/フランス語の方が簡単で
1,000 = 1 thousand (mille)*
1,000,000 = 1 million (million)
1,000,000,000 = 1 billion (milliard)
*カッコ内はフランス語
というように、ゼロ3つふえるたび、つまり1000ずつ桁の呼び方が変わっていきます。
一方日本語では、ゼロ4つの「1万(10000)」がひとつの単位となっており、
10万(ゼロ5つ/100,000)
100万(ゼロ6つ/1,000,000)
1000万(ゼロ7つ/10,000,000)
と増えていき、1万から1億になるにはゼロを4つ加えなければなりません。
このため、ゼロ3つ(1000)ずつ桁の単位の言い方が変わる欧米語とゼロの数がずれてきて、非常にややこしいことになるのです。
例えを見てみましょう。
「2015年-2016年の資生堂の売上高は7630億円だった」
という文章を英語やフランス語に通訳しなければならない場合です。
7630 00000000 yens
1億という数字はゼロが8個つくのですが、英語やフランス語にする際には3桁区切りに直し
763,000,000,000
763 billion yensとなるのです(フランス語では763 milliard de yens)。
逆に763 billion yensを日本語にしなければならない場合、英語からフランス語にするのであれば、763 billion のbillionの部分を仏語のmilliardに代えるだけ(of に相当するdeが付きますが)でよいのですが、日本語にする場合にはゼロの数がずれて、
7630 億円
となります。
幸いなことに、1兆はゼロが12個で3の倍数となるため、
1兆 = 1 trillon
となり、日本語から英語でもパッと訳せるようになります(残念ながら通常の会議で兆が出てくることはあまりありませんが…。)
ちなみに1兆はフランス語で”1 billion”。
英語の1 billionはゼロが9個の
1 000 000 000
なのに、フランス語のbillionはゼロが12個の
1 000 000 000 000
かなりややこしいですね。ただし実際にはフランス語で「1兆」は、
1 billionとはあまり言われず、
1000 milliard
という方が多いです。
日本語と英語/仏語、数字比較早見表
このように単位の区切りが日本語と英語では異なるため、大きな数字が出てくると通訳の場では一瞬困ります。
そこで、私はゼロの数を間違えないように早見表を用意しておきます。
このような早見表をチラッと見て、両方の言語に数字を直すのです。
日本語 | 数字 | 英語 | フランス語 |
1万 | 10,000 | 10 thousand | 10 mille |
10万 | 100,000 | 100 thousand | 100 mille |
100万 | 1,000,000 | 1 million | 1 million |
1000万 | 10,000,000 | 10 million | 10 million |
1億 | 100,000,000 | 100 million | 100 million |
10億 | 1,000,000,000 | 1billion | 1 millilard |
100億 | 10,000,000,000 | 10 billion | 10 milliard |
1000億 | 100,000,000,000 | 100 billion | 100 milliard |
1兆 | 1,000,000,000,000 | 1 trillion | 1000 milliard (1 billion) |
日本語と英語/仏語間での、数字変換のコツと覚え方
しかし、通訳は双方の会話のテンポを崩さないことも大切なので、毎回じっくりと早見表を見ているわけにもいきません。そこで、私は以下の2つの数字を覚えています。
100万 = 1 million
10億 = 1 billion
「日本国内でのツイッターの利用者が4500万人になりました」
と言われたら、
100万 = 1 millionを思い出し、
1000万はゼロをひとつ増やして10 million
よってツイッターの国内利用者数は45 million
と考えます。
また、「売上4億円」といわれたら、
10億 = 1 billionを思い出し、1億はbillionのつとつ手前の桁のmillionにさげないといけないので100 millionだと考え、400 million yens
とするのです。
まとめ
日本の大きな数字を英語やフランス語で言わなければならない場合は結構あります。
例えば「東京の人口はどのくらい?」と聞かれたら、
13 million (2015年)= 1300 万人
とすぐにでてくると便利ですよね。