自分の体臭は時には気が付きにくいこともあり、悩みの種ですよね。
人によって体臭が強い人もいれば、全く臭わない人もいるのはなぜでしょうか。
汗は臭う?人によってなぜ体臭は違うの?
<汗はもともと無臭>
汗をかくことは体温を調節するために大切なことです。
「汗くさい」という表現がありますが、もともと汗自体にはほとんど
臭いがありません。汗をかくという行為が体臭のもととなるのではないのです。
問題なのは、人の皮膚に存在する共生細菌が汗を培養土として繁殖することです。
人の体に住む細菌は有害なものではなく、病原体に対しての免疫力を決定する重要な役割を担っています。
しかし、汗をかいて肌が湿ったりオイリーになると細菌がその汗を吸収して繁殖しだします。細菌が汗を吸収する時に悪い体臭のもととなる化学物質を生み出すために、体が臭うのです。
<ひとそれぞれに違う体臭>
すべての細菌が同じように臭いのもとを生み出すわけではありません。
ひとの体の表面には、主に
- ブドウ球菌
- コリネバクテリウム属
- プロピオニバクテリウム属
- マイクロコッカス属
の4種の菌が存在します。そのなかでもコリネバクテリウム属の細菌が
嫌な体臭の元になる物質を発生させるのです。
人はそれぞれに異なる細菌分布を持っているため、これらの細菌が皮膚に存在する比率
の違いによって、体臭が強い人がいたり弱い人がいたりするのです。
例えばコリネバクテリウム属の細菌が大部分を占める微生物相を持つ人は
体臭が他の人よりも強いと言えるでしょう。
<なぜワキの下は体臭が強いのか>
汗には2種類あり、ひとつめは体温調節のためにかく汗。もう一つはストレスによって
かく汗です。ストレスによってかく汗が出る汗腺は間接の部分に集中しており、
特にワキの下に多く集中しています。間接の部分からでる汗は通常の汗よりも
ねばねばしてプロテインや皮脂を多く含み、細菌はこの種の汗が大好物です。
この汗のことを「感情汗」とも呼び、いやな体臭の多くの原因となっているのが
この汗なのです。ちなみにこの汗は、思春期以前には出ません。
汗以外の体臭の原因は?
<体臭の原因となるもの>
このように、人による体臭の違いは、皮膚に存在する微生物相の違いによるものです。
この微生物相の違いは遺伝によって影響され、特に主要組織適合遺伝子複合体(免疫反応に必要な多くのタンパクの遺伝子情報を含む大きな遺伝子領域)により、強く影響されます。
例えば家族の中でも、遺伝により似た体臭をもつ者同士でグループに分けることができます。
また同じ人の体臭もその時の感情、年齢、生理、または癌などの病気によって
変化します。研究者の中にはこの体臭を利用して病気を発見しようと試みている人が
います。1989年にはWilliamsとPembrokeが、犬が人間の体臭をかぐことによって
悪性の腫瘍を探し出すことができるのはないか、という仮説を立てました。
現在でもこの研究は進んでおり、特に肺がんや舌癌の場合にはその人の吐く息によって
悪性の腫瘍の臭いを検知できるのではないかとしています。
<体臭の原因となる食べ物>
汗や息が臭くなる原因には、食べものもあります。例えば、にんにく、玉ねぎ、
カレーなどの香辛料はいやな体臭のもとになります。しかしこれらの食べ物も
人により影響力が異なるため、どの食べ物が自分の体臭の原因になるのかは、
各自で知っておかなければならないでしょう。
また稀ではありますが、ある種の遺伝病が体臭の原因になっていることもあります。
例えばトリメチルアミン尿症にかかると、ある種の食べ物を食べると強い体臭を
発するため、魚臭症、魚臭症候群とも呼ばれています。
体臭を防ぐには
体臭は病気が原因になっている場合もあることは分かりましたが、主なる臭いの
もとは細菌が汗を吸収する際に発散する化学物質の臭いです。
汗をかくことは体にとって大切な働きですが、体臭は出したくないですよね。
それでは体臭を防ぐにはどうすればよいでしょうか。
リラックスする方法を学ぶ
ストレスのように、我々の感情は汗を出すもとになります。ヨガや瞑想などを
とりいれ、リラックスする方法を学ぶとよいでしょう。
食生活を変える
アルコール、お茶、コーヒー、香辛料は体温を上昇させるため、汗をかきやすくします。
また、玉ねぎも臭いの強い汗の元になるので控えましょう。
入浴の後は体をよく乾かす
細菌は湿った皮膚の上で繁殖するので、体をよく乾かしましょう。
靴を毎日変える
足は特に汗をかきやすい場所です。毎日同じ靴を履くのではなく、一日おきぐらいで
靴を履き替え、その間に汗で湿った靴をしっかりと乾かしましょう。
香料なしの制汗スプレーを使う
香りで体臭をごまかすデオドラントではなく、汗を防ぐ制汗スプレーを使いましょう。
まとめ
毎日体を洗って清潔にしていても体臭が減らない場合には、ストレス、食生活、
病気などの原因も考えてみてください。