フランス女性について書かれた本は、日本だけでなく世界中でよく売れるようです。
フランスで暮らしたことのあるアメリカ人やイギリス人は、「フランス人の女性は太らないし、年をとらないし、いつもシックでエレガント(洋服を10着しか持っていなくても!)で、しかも子供を上手にしつける」と、みな彼女達を称賛の目で見ています。
どうして世界中の女性はフランス人女性をそのような目で見るのでしょうか。フランス映画の女優さん達の影響でしょうか?
でもそれならアメリカにも素敵な女優さんはたくさんいるはずです。
いつまでも魅力的でいる彼女たち
それはもしかしたらフランスの女優さんが若い時だけでなく、年をとってからもずっと魅力的でい続けるからかもしれません。
また女優さんに限らず、普通のフランス女性達もいつまでたっても年齢に関係なく素敵に見えます。
「おばさん」ではなく「マダム」呼び方の方がまさにぴったりくるのです。
フランス社会での老いに対する考え方
どうして彼女達はいつまでも魅力的でいられるのでしょうか。
そもそもフランス社会の「老い」に対する考え方は、アメリカや日本と違うように思います。
「若い」ことが重要な我々の社会とは違って、フランス社会では男性も女性も「人が年月と共に熟していくこと」を本気で素晴らしいと思っています。まるでワインを寝かせておくとどんどんおいしくなっていくかのように。
ですから、フランス人の女性達は「若くみせよう」と年齢に逆らうことに努力するのではなく、よりよく年を取ろうと努力します。
もちろんそのためには、食事や服装、スキンケアにもとても気をつかいます。フランスの女性誌にはエイジングケアの化粧品広告がいっぱいです。でも、それらのキャッチコピーは「実年齢より10才若く見える!」などと若返りをうたうものではなく、「健康的な肌に」「心地よい肌に」などと、自分の今の肌を最高のものにしようとすることを目指しているように思います。
例えばVICHYラボラトリーの「スローエイジ」。「アンチエイジング」ではなくスローに年をとっていこうというのが、フランスらしいと思いました。
またスキンケアやボディケアでフランス女性が気を付けているのは、ケアに時間をかけながら年相応に「ナチュラルに」見せること。
ですからリフティングなどで手に入れたシワひとつない「パーフェクト」な顔は、魅力的ではないと考えます。
40歳、50歳、60歳になっても
またフランス人女性は40歳になっても50歳になっても自分が魅力的であると信じており、現にそのように振る舞います。
それは決してハタチの女の子のように振る舞うのではありません。年に応じて、自分らしくいようとするのです。
外見だけではありません、年齢を重ねるごとに、知識も経験も豊富にしていくことが大切です。
お気に入りの詩人や哲学者の言葉を引用したり、政治のことや今話題の本やお芝居のことも話せるようでなければ、魅力的な大人の女性ではないと考えます。確かに結婚出産をして自分の子供のことしか話題がなくなってしまっては、周りの人もつまらないでしょう。ですから、彼女達はよく映画や展覧会を見に行ったり、本を読んだりします。出かけるときにも小脇に分厚い本をかかえて、時間がある時にカフェやメトロのなかで本を開いている女性をよく見かけます。
フランス人画家、彫刻家のアンリ・マチスは言います。「年をとることは避けられないが、年寄りになることは避けられる。」
年に逆らうのではなく、年に応じて自分らしくいる。年齢とともに自分に深みを持たせる。
これが、フランス人女性がいつまでも魅力的でいられる理由ではないでしょうか。